Domino SNMP Agent
Domino® SNMP Agent では、業界標準の SNMP を使用するサードパーティ製管理ステーションから Domino サーバーの各側面を管理することによって、Domino のモニターと制御の機能を強化します。
Domino SNMP Agent は、次のもので構成されています。
- LNSNMP -- 独立したアプリケーションであり、Event Interceptor からトラップ通知を受信し、それをプラットフォーム固有のマスター SNMP Agent を使用して管理ステーションに送信します。LNSNMP は、管理ステーションからの IBM Domino 関連情報の要求にも対処します。その要求を QuerySet Handler に渡し、応答を管理ステーションに返します。LNSNMP には次のものが含まれます。
- Recent Trap Table -- LNSNMP に格納される動的テーブルです。Event Interceptor から送信されたトラップ通知の最新の 10 件を収容します。
- Trap Generator -- Domino SNMP Agent の一部であり、Event Interceptor から Domino イベントを受信し、それをマスター SNMP Agent を使用して管理ステーションに送信します。
- QuerySet Handler -- アドインタスクであり、サーバーの統計情報を照会し、IBM Domino ベースの設定可能なパラメータ値を設定します。QuerySet Handler は、Domino の統計情報を LNSNMP に返します。LNSNMP はその情報を、プラットフォーム固有のマスター SNMP Agent を使用して管理ステーションに送信します。
- Event Interceptor -- アドインタスクであり、Domino イベントハンドラの SNMP トラップ通知に応じて、トラップの発行を Trap Generator に指示します。
Domino SNMP Agent の主な機能
IBM Domino ANMP Agent は、次のものを提供します。
- MIB からの帯域外サーバーステータス
- SNMP での Domino サーバーの制御
- サーバーステータスのリアルタイム警告
- SNMP トラップとしての Domino イベントの送信
- Domino 統計 (MIB から)
Domino SNMP Agent は SNMP バージョン 1 をサポートしています。
MIB からの帯域外サーバーステータス
Domino SNMP Agent は、IPC を使用する Domino SNMP Agent サーバーアドインタスクからサーバーのステータスを常に間接的にモニターし、サーバーが稼働しているか停止しているかを判別します。Domino SNMP Agent は、Notes® の API アプリケーションではなく、ステータス情報をすべて帯域外で収集します。
SNMP での Domino サーバーの制御
SNMP では、次の 3 つの管理機能を実行できます。
- Domino サーバーを停止する。
- Domino サーバーを始動する。
- オペレーティングシステムを再起動する。注: zSeries® (S/390®) プラットフォームでは、再起動はサポートされません。
セキュリティの観点から、これらの機能は、デフォルトで使用不能になっています。各機能はサーバーごとに設定する必要があります。
サーバーステータスのリアルタイム警告
Domino SNMP Agent サーバーのステータスを常にモニターします。ステータスの変化は、SNMP トラップとして送信されます。サーバーステータスの次の 3 つの事項がリアルタイムで警告されることによって、サーバーが稼働しているか停止しているかのモニター機能は大幅に強化されています。
- リアルタイムでの情報の提供。
- 帯域外で使用可能な情報。サーバーが稼働しているか停止しているかの判別に、Notes クライアントや Domino サーバーは不要です。
- 情報の質の向上。SNMP は、稼働しているか停止しているかの 2 つの状態だけでなく、次のような 7 つの状態またはイベントを判別できます。
表 1. SNMP の状態またはイベント メッセージ 状況 固有のトラップ番号 解除するトラップ番号 Domino server is up: [server name] (このサーバーは、コンソールコマンドまたは SNMP によって起動されました。)
標準
11 <nozeros>
12<nozeros>
Domino server is shut down: [server name] (このサーバーは、コンソールコマンドまたは SNMP によってシャットダウンされました。)
無効
12 <nozeros>
11<nozeros>
Domino server pulse has failed: [server name] (このサーバーは異常にビジーか、SNMP パルスに応答しません。)
警告
13 <nozeros>
14<nozeros>
Domino server pulse is restored: [server name] (このサーバーはもうビジーではなく、SNMP パルスに応答しています。)
標準
14 <nozeros>
13<nozeros>
System is rebooting: (Domino SNMP Agent がシステム全体を再起動しています。)
情報
15 <nozeros>
N/A
Domino server is not responding: [server name] (このサーバーは、クラッシュまたはハングした可能性があります。)
クリティカル
16 <nozeros>
17<nozeros>
Domino server is now responding: [server name] (このサーバーは、応答を再開しています。)
標準
17 <nozeros>
16<nozeros>
この状態以外では、サーバーが意図的に無効にされたかが最も重要です。意図的であるとわかっている場合、定期点検中のサポート要員を呼び出すというような事態を避けることができます。
サーバーの状態を判別するには、LNSNMP とその Domino サーバーアドインタスク (まず QuerySet Handler、それがなければ Event Interceptor) の間のパルスを使用します。トラップ 13 または 16 が発生するのは、LNSNMP が SNMP アドインタスクと通信して、サーバーが稼働していることを最初に判別した場合だけです。サーバーの起動に問題がある場合は、トラップが発生しません。トラップ 16 が発生するのは、トラップ 13 の条件が継続して発生している (サーバーが応答しない) 場合です。言い換えると、トラップ 16 が発生する前にはトラップ 13 が発生します。
SNMP トラップとしての Domino イベントの送信
Domino イベントの転送は、リアルタイム警告とよく似ています。SNMP トラップは、Domino が Event サーバータスクを使用して生成するとすぐに、リアルタイムで送信されます。統計モニターは、Domino が Collector サーバータスクを使用して一定間隔で生成するため、厳密にはリアルタイムではありません。これらのイベントを Domino ドメイン全体で統合できることが、Domino SNMP Agent の 1 つの利点です。
Domino イベントのテキストメッセージには、いくつかの情報項目があり、それに付いているラベルは次のとおりです。
Server -- 転送元の Domino サーバーのフルネーム。
Type -- イベントの種類。
Severity -- イベントの重要度。
TimeStamp -- タイムスタンプは UNIX™ Epoch 形式に変換されます。これはサーバーのタイムスタンプであって、コンソールのタイムスタンプではありません。
Text -- イベントメッセージ (サーバーのローカル言語で表示)。
Seq -- LNSNMP によって割り当てられます。
種類コードは数値であり、Domino Event Monitor に表示される各イベントタイプに対応します。
0 不明
1 通信
2 セキュリティ
3 メール
4 レプリカ
5 リソース
6 その他
7 サーバー
8 統計
9 更新
重要度コードは数値であり、Domino Event Monitor に表示されるそれぞれの重要度イベントに対応します。
0 不明
1 致命的
2 障害
3 警告 (高)
4 警告 (低)
5 正常
Domino 統計 (MIB から)
Domino 統計の多くは SNMP を使用して入手できます。文字列 "--<<"
で始まる Domino MIB のコメントを調べることによって、どの MIB オブジェクトが Domino 統計から直接作成されたかを知ることができます。
SNMP セキュリティ
SNMP バージョン 1 は、安全なプロトコルとは言えません。SNMP のネイティブセキュリティは、コミュニティ名と IP アドレスしか使用していません。セキュリティ担当者とともに、すべてのサイトの Domino SNMP Agent の導入形態をレビューする必要があります。ただし、Domino SNMP Agent の制御機能は、セキュリティ上の大きな危険は及ぼしません (例えば、コンソールやデータベースへのアクセスには影響しません)。