非隣接 Domino ドメインへの配信を設定する
非隣接ドメインとは、直接接続していないが、共通の隣接する中間ドメインがある Domino® ドメインをいいます。
このタスクについて
以下は非隣接ドメインの例です。ドメイン A とドメイン B は隣接しており、これら 2 つのドメイン間の配信を定義する接続文書があります。同様に、ドメイン B はドメイン C に隣接しており、これら 2 つのドメイン間に相互の接続文書が存在し、ドメイン C とドメイン D も隣接しており、接続文書でリンクされています。ドメイン B は一方でドメイン A と隣接しており、他方ではドメイン C と隣接しています。同様にドメイン C はドメイン B とドメイン D に隣接しています。ドメイン A とドメイン C の間に直接接続がない場合、これら 2 つのドメインは非隣接ドメインと見なされます。同様に、ドメイン B とドメイン D の間に直接接続がない場合、これら 2 つのドメインも非隣接ドメインです。
システム管理者は、非隣接ドメイン文書を作成して、非隣接ドメインへのメッセージ配信を制御できます。非隣接ドメイン文書には次の 3 つの機能があります。
- 次の中継ドメインについての情報を供給して、非隣接ドメインへの配信パスを指定する。
- 別のドメインからのメールの非隣接ドメインへの配信を制限する。
- 非隣接ドメイン同士の空き時間検索に使用するカレンダーサーバーを定義する。
非隣接ドメイン文書は、非隣接ドメインに配信制限を指定する場合にのみ必要です。ただし、非隣接ドメイン宛てのメッセージのアドレス指定を単純にするには、そのドメインの非隣接ドメイン文書があると便利です。ディレクトリに非隣接ドメイン文書がないと、ルーターではその非隣接ドメインへの配信パスが定義されません。受信者のアドレスで明示的な配信パス (User@AdjacentDomain@NonAdjacentDomain) が使用されている場合は、ルーターはメッセージを非隣接ドメインに転送できますが、単純なドメインアドレス (User@NonAdjacentDomain) を使用したメッセージを転送することはできません。明示的なアドレス指定が使用されている場合、ルーターは、ドメイン間の接続文書を使用して、次の中継ドメインへの配信パスを計算します。
ただし、非隣接ドメイン文書が使用できる場合、ルーターはこの文書から中間ドメインに関する情報を取得します。これによって、ユーザーは非隣接ドメインへメールを送信する際に複雑な明示的アドレス指定を使用する必要がなくなります。つまり、ドメイン A にドメイン C の非隣接ドメイン文書がある場合、ドメイン A の Kathy Burke がドメイン C の Robin Rutherford にメールを送信する際には、Kathy Burke は Robin Rutherford@C@B ではなく、Robin Rutherford@C というアドレスを使用します。ルーターは非隣接ドメイン文書から中間ドメインに関する情報を取得するため、メッセージはドメイン B を経由してドメイン C に正常に転送されます。
2 つの非隣接ドメイン間には直接接続がないため、これら 2 つのドメイン間に接続文書で配信パスを定義することはできません。接続文書は、直接接続されている隣接ドメイン間にのみ使用できます。ただし、非隣接ドメインのユーザー同士は、中間ドメインを経由して配信するとメールを送信できます。
これを実行する 1 つの方法として、明示的なアドレス指定があります。[アドレス] フィールドに完全な配信パスを入力して、中間ドメインを経由して宛先のドメインに配信する方法をルーターに指示します。たとえば、ドメイン A の Kathy Burke から非隣接ドメイン C の Robin Rutherford にメッセージを送信する場合、次に示すように、メッセージにドメイン B を経由したアドレスを指定します。
Robin Rutherford@C@B
メッセージの処理時に、ドメイン A のメールサーバーのルーターは、このアドレスの最後の部分だけを確認して、接続文書を使用してドメイン B への配信を決定します。次に、ドメイン B のサーバーは独自の Domino ディレクトリの接続文書を使用してメッセージをドメイン C に転送します。
明示的なアドレス指定は、ドメイン間の配信トポロジーの完全な情報に基づいているため、非隣接ドメインにメールを配信するための効果的な方法ではあっても、あまり実用的な解決法ではありません。一般的なユーザーにとって、この情報はいつでも使用できるものではありません。非隣接ドメインへの配信とアドレス指定を簡単にするには、Domino ディレクトリに非隣接ドメイン文書を作成して、非隣接ドメイン間の経路を定義します。
非隣接ドメイン文書を使用するとアドレス指定が単純化されるため、それだけでも十分に使用価値があります。ただし、非隣接ドメイン文書は同じように有意義な別の役割も果たします。非隣接ドメイン文書は、非隣接ドメイン間の配信を有効にするために必ずしも必要なものではありませんが、一定のドメインからのメッセージの配信を制限する場合は必要です。
デフォルトでは、特定のドメインにメールを配信できるドメインは、非隣接ドメイン文書に指定されている宛先のドメインにメールを配信することもできます。あるドメインから別のドメインに特定のドメインを経由してメールが配信される場合、そのメールは特定のドメインのネットワークリソースを消費します。自分のサーバーが他のドメイン間のメール転送に使用されるのを防ぐために、メールが自分のドメインを経由して配信されるのを許可したり拒否したりできます。
非隣接ドメイン文書の [制限] タブの [許可] フィールドと [拒否] フィールドを使用すると、他のドメインから非隣接ドメインへのメッセージのフローを制御できます。これらのフィールドのエントリは、隣接ドメインの名前でなければなりません。ルーターは、直前の中継点より前の非隣接ドメインのエントリは無視します。特定のドメインから自分のドメインを経由してメールが送信されないように指定すると、ルーターは、特定のドメインから受信するメールをすべて拒否するようになります。特定のドメインが別の非隣接ドメインからのメッセージを回してきた場合も拒否します。
非隣接ドメイン文書の [次のドメインからのメールを拒否] フィールドでは、明示的なドメインアドレス指定、つまり配信パス上のドメインそれぞれを明示的に指定するアドレスを使用するメッセージはブロックされません。非隣接ドメイン文書は、指定されていない中間ドメインの名前を指定する非隣接ドメイン文書内の情報に依存するメールのみブロックできます。配信パス全体が受信者のアドレスに含まれる場合、ルーターは非隣接ドメイン文書を調べてメッセージの配信先を判別する必要がないため、そのメッセージはブロックできません。たとえば、上記の例では、ドメイン B のシステム管理者はドメイン D について非隣接ドメイン文書を作成し、[次のドメインからのメールを拒否] フィールドにドメイン A を追加します。それでもドメイン A の Kathy Burke は、以下の明示的なドメインアドレスを指定すれば、ドメイン D の Judy Kaplan にメールを送信できます。Judy Kaplan@D@C@B
Kathy Burke がこのメッセージを送信できないようにするには、ドメイン B のシステム管理者はドメイン C について隣接ドメイン文書を作成して、[次のドメインからのメールを拒否] フィールドにドメイン A を指定する必要があります。
[許可] フィールドと [拒否] フィールドの設定は、サーバー設定文書の [ルーター/SMTP] - [制限と制御] - [制限] タブの [許可] フィールドと [拒否] フィールドと連動します。これらの設定間で矛盾が生じた場合、Domino は最も制限の厳しいエントリを適用します。
配信パス上のドメイン間に設定されている隣接ドメイン文書、非隣接ドメイン文書、サーバー設定文書によって、メッセージがさらに制限される場合があります。