一時的な接続を使用してメールを配信する
インターネットまたは Domino® ネットワーク上の他のサーバーに常時接続していないサイトでは、ネットワークダイヤルアップ接続などの一時的な接続を使用してメッセージを送受信できます。
このタスクについて
たとえば、インターネットに常時接続していない組織は、ローカルメールサーバーが ISP サーバーをコールして ISP サーバーから送信待ちのメッセージを取得つまり「プル」するまで当該組織の ISP の提供するリモートメールサーバーを使用してメールを保留する場合があります。ISP メールサーバーで SMTP ETRN コマンドがサポートされる場合は、SMTP を使用してメールを「プル」するよう Domino サーバーを設定できます。ローカル Domino サーバーも Notes® 配信プロトコルを使用して、Notes ダイレクトダイヤルアップ接続経由でリモート Domino サーバーからメッセージをプルできます。
リモートサーバーからメールをプルするよう Domino を設定する
このタスクについて
デフォルトでは、ローカルサーバーがリモートサーバーへの接続を実行するときに、ローカルサーバーはその接続を使用してリモートサーバーへメッセージをプッシュします。ローカルサーバーがリモートサーバーから送信待ちメッセージを「プル」することはありません。代わりに、ローカルサーバーは、リモートサーバーが接続を実行してこれらの送信待ちメッセージを配信する場合にのみリモートサーバーからメールを受信します。このデフォルトの動作を変更して、ローカルサーバーがリモートサーバーにメッセージを送信する同じセッション中にリモートサーバーからメッセージを取得できるようにするには、ローカルサーバーがリモートサーバーに「Pull 要求」を送信するよう設定します。
ローカルサーバーが「Pull 要求」を送信するように設定した場合、ローカルサーバーはリモートサーバーにメッセージを送信して、ローカルサーバー用の送信待ちメッセージをすべて配信するよう要求します。Pull 要求を受信するリモートサーバーは、SMTP ホストなら Domino サーバーでなくても構いません。リモートサーバーは、「Pull 要求」を受信すると、メールキューに接続元サーバー用の送信待ちメッセージがないか調べ、そのメッセージの転送に必要な処理を開始します。
SMTP 配信を使用する場合は、相手サーバー (「Pull 要求」を受信する側) で ETRN プロトコルが有効になっていることを確認します。有効になっていない場合、相手のサーバーは Pull 要求を受信できません。さらに、リモートサーバーは、メッセージを確実に送信するため、接続元サーバーの DNS ホスト名を解決して IP アドレスに変換できる必要があります。通常、ETRN を使用する場合、接続元サーバーに静的な IP アドレスがあり、この IP アドレスが DNS で送信待ちメッセージを保留するサーバーに対して有効になっている必要があります。
ダイヤルアップ配信の設定時には、リモートサーバーが接続を確立できるように接続元サーバーが回線を開いておく時間を指定できます。この設定により、リモートサーバーから送信待ちメッセージが転送されないうちに、接続元サーバーが回線を切断することを防止できます。接続元サーバーは Pull 要求を送信し、リモートサーバーへのメッセージがあればプッシュし、リモートサーバーから送信待ちメッセージが配信されるのを待ちます。
接続元サーバーは、Pull 要求を送信するとき、接続元サーバーが受け持っている組織内の他のサーバー、ドメイン、ホスト、すべてのキュー名へのメッセージも要求できます。
ETRN コマンド
このタスクについて
ETRN をサポートすると、ダイヤルアップ SMTP ホストは、自分のメッセージを保留している SMTP サーバーにこれらのメッセージの配信時期を通知できます。ETRN を使用することにより、ダイヤルアップホストが単一セッション中にメールを送受信するため、サーバーは帯域幅のリソースを効率的に使用できます。
ETRN は、Extended Turn を意味する RFC 1985 で定義される SMTP サービス拡張コマンドです。これは、RFC 821 に元来定義されている SMTP TURN コマンドよりも改善されたセキュリティを提供します。TURN コマンドを使用すると、SMTP セッションに含まれるホストが各自のロールを逆にして、たとえば、Server1 が SMTP メッセージを Server2 に送信する場合に Server1 がこの TURN コマンドを発行して Server2 が送信者で Server1 が受信者とすることができます。
ただし、TURN コマンドには呼び出し側ホストの身元を照合する機構がないため、このコマンドを使用するにはセキュリティ上のリスクが伴います。サーバーに不正侵入する悪質なユーザーは、別のユーザーのインターネットドメインに属していることを装い、TURN コマンドを使用してそのドメイン宛てのメッセージを取得する可能性があります。
ETRN コマンドでは、SMTP セッション中に送受信のロールを再定義することによって、このセキュリティホールを埋めることができます。たとえば、Server1 が Server2 に ETRN コマンドを発行した後に、ETRN が Server2 に Server1 との新規 SMTP セッションを開くよう指示します。Server2 は Server1 の名前を解決して DNS の IP 番号に変換する必要があるため、新規 SMTP セッションを適切なコンピュータと開くには、Server2 のほうが Server1 よりも適しています。
Domino が ETRN を使用してダイヤルアップ接続経由で新規メールを取得するには、ISP でこのコマンドをサポートする必要があります。使用している ISP を調べて、このコマンドがサポートされているかどうかを確認します。また、ISP の SMTP サーバーのポート 25 に対して telnet 接続を確立することにより、コマンドがサポートされているかどうかを確認することができます。SMTP セッションの開始後に、EHLO と入力して [Enter] キーを押します。ISP の SMTP サーバーからの応答に、サーバーが ETRN をサポートするかどうかが示されます。