ドメインネームシステム (DNS) と SMTP メール配信
ドメインネームシステム (DNS) は SMTP によって使用されるディレクトリであり、renovations.com などの名前を、その名前に対する接続を受信できるサーバーのリストに変換し、特定のサーバーの IP アドレスを検索するためのものです。受信側サーバーのアドレスを DNS で調べることによって、送信側サーバーは、受信者にメッセージを正確に配信できます。
DNS は、次の 2 種類のレコードを使用します。メールエクスチェンジャ (MX) レコードと A レコードです。MX レコードは、ドメイン名と 1 つ以上のホスト名をマップします。A レコードは、ホスト名とサーバーの IP アドレスをマップします。
メールサーバーは、他の DNS レコードも使用します。たとえば、インターネットメールを受信するサーバーは、DNS PTR レコードを逆検索して、指定されている IP アドレスのホスト名を判別します。逆検索は、メッセージの送信元の確認に役立ちます。サーバーを経由するリレーアクセスの制限や、不特定多数に送られる商用電子メール (UCE) の防止に使用する重要なツールです。
SMTP を使用するためには DNS を正確に設定する必要があります。受信側ドメインのメールサーバーの IP アドレスを決定するため、HCLDomino® では次の処理が行われます。
- サーバーは、受信者アドレスのドメイン部分を DNS で検索します。
- DNS で MX レコードが見つかると、サーバーはその MX レコードにリストされたサーバーに接続を試みます。複数の MX レコードがある場合は、サーバーはコストが最小のレコードへの接続を試みます。複数の MX レコードのコストが最小である場合は、サーバーは無作為にレコードを選択し、その MX レコードにリストされたサーバーに接続を試みます。 注: 複数の MX レコードが特定のドメイン名に対応する場合があります。DNS でホスト名が検索され、たとえば A レコードが見つかります。A レコードには、ホストの IP アドレスが含まれます。
- DNS で A レコードだけが見つかると、Domino は A レコードの IP アドレスにメッセージを配信します。
- DNS でレコードが見つからないと、Domino はメッセージを配信できず、配信に失敗したことを示すメッセージを送信者に送ります。
MX レコードは、ドメイン名と 1 つ以上のホスト名をマップします。A レコードは、ホスト名とサーバーの IP アドレスをマップします。次の理由で、A レコードだけでなく MX レコードでホスト名を使用する場合があります。
- サードパーティ製のツールによっては、IP アドレスではなく、ホスト名だけを認識できる場合があります。
- コンピュータを交換したり、場所を変更する場合に、既存のホスト名と IP アドレスを新しいまたは場所を変更したコンピュータに割り当てることができます。この変更はユーザーには意識されず、メッセージは適切に配信されます。
DNS を使用して、DNS サーバーの特定のドメイン名に対応する複数の MX レコードを作成することによって、メールサーバーのフェイルオーバーとワークロードの均衡を実現できます。1 つの名前に対して複数の MX レコードを設定する場合は、優先する値を設定して、DNS によるレコードの選択方法を制御できます。DNS では、小さい値のプリファレンスが最初に選択されます。例えば、10 よりも先に 5 が選択されます。同じプリファレンス値の MX レコードが複数ある場合は、DNS によってその中から無作為に MX レコードが選択されます。たとえば、サーバーが使用できないため、これらの MX レコードのいずれかに障害が起こった場合、DNS はその障害を検出して、プリファレンスが同じ他の MX レコードを試し、その後にそれより値の小さい MX レコードを試します。
たとえば、renovations.com ドメインに次のような 4 つの MX レコードがあるとします。
- MX レコード: renovations.com IN MX 5 mail1.renovations.com
- MX レコード: renovations.com IN MX 5 mail2.renovations.com
- MX レコード: renovations.com IN MX 10 mail3.renovations.com
- MX レコード: renovations.com IN MX 10 mail4.renovations.com
サーバーが renovations.com に接続しようとすると、DNS は、まず、プリファレンスが 5 の MX レコードを使用します。プリファレンスが 5 の MX レコードが 2 つある場合、DNS は mail1.renovations.com と mail2.renovations.com の MX レコードから無作為に選択します。DNS が mail1.renovations.com の MX レコードを返し、mail1.renovations.com が使用できない場合、DNS は mail2.renovations.com の MX レコードを返します。mail2.renovations.com が使用できない場合、プリファレンスが 5 の両方の MX レコードが失敗します。次に、DNS はプリファレンスが 10 の MX レコードを選択し、プリファレンスが 5 の MX レコードと同様の方法で使用します。