サーバーメールルールを設定する
特定のメッセージに実行するアクションを定義する内容フィルタルールを作成できます。特定の条件を満たす新規メッセージが MAIL.BOX に保管されると、指定されたアクションが Domino® によって自動的に実行されます。指定できるアクションには、メッセージのジャーナルへの記録、データベースへのメッセージの移動、メッセージの受信または配信の拒否、メッセージの配信状態の変更、後続ルールの処理停止があります。ルールの条件は、メッセージヘッダーまたはメッセージ本文の内容に基づきます。
このタスクについて
メールルールによって、さまざまな状況のメールが自動的に処理されます。条件とアクションのセットを設定すると、SPAM メールを防止したり、問題のある内容を含むメッセージを捕捉できます。たとえば、簡単に高収入を得られます
など疑わしい件名のメールや、既知のスパム送信元からのメッセージを拒否するルールを作成できます。同様に、特定の種類のファイル (EXE、VBS、VBE、SCR など) が添付されたメッセージを捕捉し、隔離されたデータベースに転送し、管理者がそれを調べて指定された受信者に送信するかどうか選択するルールを設定して、業務に関係のない添付ファイルをユーザーが受け取れないようにできます。
ルールアクションに明示的に指定しない限り、Domino® ではルールによってメッセージが送信先に配信されなかった場合に送信者や受信者に通知はされません。たとえば、ルールによってメッセージが隔離されたデータベースに送信される場合、Domino® によって送信エラーレポートが生成されたり、受信者に彼ら宛てのメッセージが捕捉されたことが通知されることはありません。反対に、メッセージによって、2 部構成のアクション [メッセージを送信しない]/[NDR を送信] が指定されたルールが起動される場合、送信者はメッセージがポリシー上の理由によって拒否されたことを示す送信エラーレポートを受信します。
メールルールは、ウイルス対策ソリューションとして動作するように設計されていないため、ウイルス対策ソフトウェアの代わりとして使用することはできません。既知のウイルスファイルが添付されたメッセージを検疫するルールを設定しても、使用できるルールアクションには、ウイルスが検出されたら警告を生成したり、自動的にファイルからウイルスを駆除するような通常のウイルス対策機能は含まれていません。
Domino® では、作成したメールルールはサーバー設定文書に保存されます。起動時に、各サーバーは適切なサーバー設定文書からメールルールを取得し、使用する各 MAIL.BOX データベースにモニターとして登録します。
MAIL.BOX が送信元 (SMTP プロセス、別のサーバーのルーター、メッセージを保管するクライアント) から新規メッセージを受け取るたびに、サーバーは登録されたメールルールに対してさまざまなメッセージフィールドを評価します。各メッセージが評価されるのは 1 回だけです。メッセージが MAIL.BOX に追加された後に追加の更新 (処理される受信者数を反映するための更新など) が行われても、ルールの再評価は実行されません。
メールルールの処理を停止する
このタスクについて
メールルールを設定するときに、[処理を停止] アクションを使用すると、処理停止アクションを含むルールに従うすべてのルールの処理を停止できます。処理を停止アクションを単独で、つまり、1 つのメールルールの中で唯一のアクションとして使用することができます。また、1 つのルールの中で他のアクションと共に使用することもできます。さらに、一連のルールの中の 1 つのルールのとして使用することもできます。これは、メッセージに複数のルールを適用するが、最初のアクションの実行後にメールルールの実行を停止する場合、特に便利です。たとえば、次のルールを定義できます。
- ルール 1) 件名に Marketing が含まれている場合、Marketing Information データベースに移動し、ルールの処理を停止する。
- ルール 2) 件名に Sales が含まれている場合、メッセージを配信しない。
結果: 件名行に「Marketing and Sales」という件名がある場合、メッセージは Marketing Information データベースに移動され、処理は停止します。そのメッセージに対して他のアクションは行われません。
複数のメールルールを有効にした場合、リスト内でそれらの位置を上下することによって相対的な優先度を設定できます。
新規ルールを有効にするサーバー設定文書は、文書が事前に保存されている場合にのみ新しいメールルールを表示します。
追加した新しいルールは、サーバーがそのメールルールを再ロードしないと有効になりません。再ロードは、Server タスクがサーバー設定文書の定期的なチェックを実行したときにルールの変更を検出すると、自動的に実行されます。サーバー設定文書のチェックは約 5 分の間隔で実行されます。
コンソールコマンドを使用すると、サーバーにルールを強制的に再ロードさせることができます。
サーバーコンソールで次のコマンドを入力します。
set rules新しいメールルールを作成するには
このタスクについて
手順
- ルールの適用先サーバーのサーバー設定文書が既に存在することを確認します。
新しいサーバー設定文書を作成する場合、[基本] タブの [グループ/サーバー名] フィールドに入力し、[保存して閉じる] をクリックします。次に、文書を再度開いてルールの追加を開始します。新しい文書を保存する前に新しいルールを追加しようとすると、その前に設定を保存するように求められます。
- Domino® Administrator で、[設定] タブをクリックし、[メッセージング] セクションを展開します。
- [設定] をクリックします。
- 管理するメールサーバーのサーバー設定文書を選択し、[サーバー設定の編集] をクリックします。
- タブをクリックします。
- [新規ルール] をクリックします。
- [新規ルール] ダイアログボックスの [条件を指定] セクションで、特定のメッセージにルールを適用するかどうかを判別するためにサーバーが使用する基準を設定します。ルールの条件には、次の要素を含めることができます。
表 1. ルール条件 条件の要素 説明 Message item to examine
ルールを適用するかどうかを評価するときに、SMTP listener、ルータ、クライアントが調べる Notes® メッセージ項目を指定します。次のいずれかを選択します。[送信者]、[件名]、[本文]、[重要度]、[優先度]、[宛先]、[cc]、[bcc]、[宛先または CC]、[本文または件名]、[インターネットドメイン]、[サイズ] (バイト単位)、[すべての文書]、[ファイル名]、[添付ファイル数]、[フォーム]、[受信者数]、[受信者]、[ブラックリストタグ]、[ホワイトリストタグ]
注: MAIL.BOX に保管されたすべてのメッセージに適用されるルールを作成するには、[すべての文書] を選択します。Logical operator or qualifier
ルーターが対象フィールドの内容を評価する方法を指定します。次のいずれかを選択します。
- [次を含む時] (テキストフィールド値の場合)
- [次を含まない時] (テキストフィールド値の場合)
- となる
- 次と等しくない
- [次より小さい時] (数値フィールド値の場合)
- [次より大きい時] (数値フィールド値の場合)
たとえば、メッセージ項目の [添付ファイル名] を選択した場合、修飾子 [次と一致する時] を選択すると、指定した名前に完全に一致する名前の添付ファイルがあるすべてのメッセージに適用されるルールが定義されます。
Value to check in message item
対象のメッセージ項目で検索する内容を指定します。
たとえば、対象メッセージ項目の [添付ファイル名] を選択し、修飾子 [次を含む時] を選択した場合、「.VBS」と入力すると、文字列「.VBS」を含む名前 (LOVE-LETTER.VBS、CLICK-THIS.VBS.TXT、MY.VBS.CARD.EXE など) の添付ファイルが付いたすべてのメッセージに適用されるルールが作成されます。
注: ユーザー名に一致する名前を定義する場合、正規の形式を指定します。例、UserName/Sales/East- テキストフィールドでは、* (アスタリスク) などのワイルドカード値はサポートされていません。対象フィールドにそのような検索文字列を指定するには、[次を含む時] 演算子を使用し、それに付随するテキストフィールドに検索文字列を入力します。たとえば、前の例のように、名前に .VBS という文字列を含む添付ファイルを検索するには、「ファイル名は *.VBS と一致する」ではなく、「ファイル名は .VBS を含む」という条件を作成します。
- 検索文字列テキストでは大文字と小文字は区別されません。
- 数値を指定するときは、必ず、文字ではなく数字を入力してください。つまり、「二」ではなく「2」と入力します。
- [追加] をクリックします。
- オプション: 次の手順で条件を変更します。
- さらに条件を追加するには、[条件] を選択し、[かつ] か [または] を選択します。新しい条件ごとに手順 6 と 7 を繰り返します。
- 例外を追加するには、例外ごとに [例外] を選択し、手順 7 から 9 を繰り返します。1 つの条件ステートメントに追加できる例外は 1 つのみです。
- [アクションを指定] セクションで、条件ステートメントに一致するメッセージが着信したときに実行するアクションを指定し、[アクションの追加] をクリックします。ルールごとに指定できるアクションは 1 つだけです。
表 2. メールルールのアクション アクション名 説明 メールをジャーナルする ルーターは、設定されたメールジャーナルデータベースにメッセージのコピーを送信し、メッセージをその送信先に配信します。[ルーター/SMTP] - [詳細] - [ジャーナリング] タブで、ジャーナルを有効にしておく必要があります。
データベースへ移動する ルーターは、MAIL.BOX からメッセージを削除し、付随するテキストフィールドで指定したデータベース (たとえば、GRAVEYARD.NSF) にそれを隔離します。指定したデータベースが既に存在している必要があります。メッセージはその送信先に配信されません。メッセージを隔離したデータベースに移動すると、ウイルスやその他の不審な内容について詳細に調べることができます。
メッセージを受け入れない Domino® はメッセージを拒否しますが、ルーターは送信エラーレポートを生成しません。メッセージの送信元によって、送信者はメッセージが送信されなかったことを示す NDR またはその他のメッセージを受信する場合もしない場合もあります。
- たとえば、Domino® は、SMTP 受信メッセージを受け付けない場合、送信元サーバーに SMTP「永続エラー」コードを返し、メッセージがポリシー上の理由で拒否されたことを示します。SMTP 永続エラー (500 番台のエラー) は、送信者が再度同じアドレスに送信しようとすると繰り返して発生するエラータイプを示します。送信元のクライアントとサーバーの設定によって、メッセージの発信者は送信エラーレポートを受信することもあります。
- Notes® 配信を介して受信したメッセージの場合、Domino® は、メッセージがメールルールに違反していることを示す送信エラーレポートを返します。
- Notes® クライアントによって保管されたメッセージの場合、送信元クライアントが、メッセージがメールルールに違反したことを示すエラーを表示します。
メッセージを送信しない Domino® ではメッセージは受け付けられますが、送信先に配信されず、次の指定されたオプションの 1 つに従って処理されます。
- [即時削除] - Domino® で送信者または受信者に何も通知しないで MAIL.BOX からメッセージが削除されます。
- [NDR を送信] - Domino® で送信エラーレポートが生成され、それが送信者に返されます。Notes® クライアントから送信された MIME と Notes® リッチテキストバージョンのメッセージでは、別個の送信エラーレポートが作成されます。
ルーティング状態の変更 Domino® ではメッセージを受け付けますが、配信はされません。代わりに、滞留としてマークが付けられ、メッセージの RoutingState 項目の値が HOLD に変更されます。メッセージの配信状態に対するこの変更により、メッセージはルーターによって MAIL.BOX に無期限に保持され、管理アクションは保留されます。
注: メッセージに保留マークを付ける場合、「保留」メッセージが解除されるまで他のルールは実行されません。Domino® ではメールルールによって保持されたメッセージと、配信不能として保持されたメッセージは区別されます。
注: このアクションは、RoutingState 項目が、サードパーティ製の製品 (ある種のウイルス対策ソフトウェアなど) でも処理されるサーバーなどでは適切に機能しない場合があります。処理を中止 Domino® では、ルールに処理を停止アクションがある場合、メッセージに適用されるすべてのルールを停止します。メッセージに対するそれ以降のルールは実行されません。
- ルールを保存して直ちに有効にするには、[OK] をクリックします。
ルールは保存するが、まだ有効にしない場合は、[オフ] ラジオボタンをクリックしてから [OK] をクリックします。
- オプション: いくつかのルールを作成した後、それらの位置を変更して相対的な優先度を指定できます。各ルールは、リストの上から順に実行されます。ルールの位置を変更するには、ルールを選択して [上へ] または [下へ] をクリックします。セキュリティに関連するルールをリストの上位に配置すると、それらのルールが他のルールよりも先に処理されます。
- [保存して閉じる] をクリックします。
- 変更は、サーバータスクによる変更の登録後、または
set rules
コマンドの受信後に有効になります。
タスクの結果
MAIL.BOX が暗号化されたメッセージ (Notes® による暗号化、S/MIME、PGP など) を受信した場合、メッセージエンベロープの暗号化されていない情報 (送信者、重要度、受信者など) に基づくルールの条件はサーバーのメールルールによって処理されますが、メッセージ本文の暗号化された部分に基づく条件は処理されません。大部分のルールの条件は、メッセージエンベロープの情報に基づいています。ルールがメッセージを処理できない場合についてはログに記録されません。
メッセージフォームの条件を指定する
このタスクについて
ルールの条件にメッセージフォームタイプを指定して、ルールが適用されるメッセージのタイプを指定できます。フォームタイプを評価するときは、使用されている Notes® メッセージフォーム ([文書] プロパティに表示される [Form] 項目) が調べられ、メッセージの MIME 項目に定義されたフォーム情報は使用されません。MAIL.BOX に保管されたすべてのメッセージは、ネイティブな MIME 形式のインバウンドのインターネットメッセージを含めて Notes® 文書として表示されます。デフォルトでは、SMTP を介して受信されたメッセージはメモフォームを使用します。ただし、SMTP 送信エラーレポートは送信エラーレポートフォームを使用して Domino® により表示されます。一般的な Notes® フォーム名は次のとおりです。
- 予定
- 送信レポート
- メモ
- 送信エラーレポート
- 通知
- 返信
- 受信確認
- トレースレポート