複数の MAIL.BOX データベースを作成する
Domino® メールサーバーは MAIL.BOX データベースを使用して、転送中のメッセージを保持します。メールクライアントと他のサーバーは SMTP または Notes® 配信プロトコルを使用してメッセージを MAIL.BOX に蓄積します。各サーバーのルーターは、MAIL.BOX 内の各メッセージのアドレスを確認し、その後メッセージをローカルメールファイルに配信するか、別のサーバーの MAIL.BOX データベースに転送します。
このタスクについて
MAIL.BOX に書き込みを行うサーバープロセス (サーバースレッドとルーターを含む) は、MAIL.BOX に排他的にアクセスする必要があります。排他的にアクセスできるようにするために、MAIL.BOX で読み取りまたは書き込みを行うプロセスは、データベースをロックし、他のプロセスからの同時アクセスを防止します。データベースにアクセスしようとする他のプロセスは、現在アクティブなプロセスが完了し、データベースのロックが解除されるまで待機しなければなりません。
多くの場合、メールプロセスによって MAIL.BOX がロックされる時間は一瞬です。ただし、ルーターまたは別のプロセスが大きなメッセージの読み取りまたは書き込みを実行する場合は待機時間が長くなります。たとえばメールトラフィックが多く処理能力に余裕のないシステムなどで新着メールが多数ある場合には、ルーターがメールの読み込みと更新を試行しているときに、いくつかのサーバースレッドがメールを MAIL.BOX に保管しようとすることがあります。負荷が高いと、1 つの MAIL.BOX データベースに対するこのような競合のためにパフォーマンスが低下します。
1 つのサーバーに複数の MAIL.BOX データベースを作成すると、パフォーマンスが大幅に向上します。MAIL.BOX データベースが複数あると MAIL.BOX に対する競合がなくなり、同時に複数のプロセスでメッセージを処理できるため、サーバースループットが増加します。1 つの MAIL.BOX を読み込むとき、ルーターはデータベースに「使用中」のマークを付けます。メールを保管しようとしている他のサーバースレッドは、このマークを見て保管先を別の MAIL.BOX に変更します。さらに、複数の MAIL.BOX を使用すると 1 つの MAIL.BOX が破損した場合のフェイルオーバーにもなります。
追加の MAIL.BOX データベースを作成する場合、各 MAIL.BOX を別のディスクに配置することを検討してください。MAIL.BOX ではディスクアクセスの競合は問題にならないため、別のディスクに追加の MAIL.BOX データベースを配置してもそれだけでパフォーマンスが向上することはありません。ただし、データベースが複数のディスクに分散されているとディスクエラーが発生した場合に役立ちます。
2 番目の MAIL.BOX データベースを作成すると、1 つの MAIL.BOX を使用する場合よりも大幅にパフォーマンスが向上します。サーバーのメールトラフィックによっては、3 番目、4 番目の MAIL.BOX データベースを作成するとさらにパフォーマンスが向上することがあります。ただし、MAIL.BOX を追加するにしたがって、追加の MAIL.BOX ごとのパフォーマンスの向上率は少なくなります。
MAIL.BOX データベース数は、サーバー設定文書の [ルーター/SMTP] - [基本] タブで指定します。変更したメールボックス数が有効になるのは、サーバーを次に起動した後です。
2 番目の MAIL.BOX データベースを設定したら、メール統計を使用して追加の MAIL.BOX データベースが必要かどうかを判別します。
新しいメールボックスの作成後、古くなった MAIL.BOX ファイルは、以降、ルーターによって使用されなくなります。MAIL.BOX 内のメッセージは、サーバー上に新たに作成されたメールボックスのいずれかにコピーする必要があります。複数のメールボックスを作成する場合、ファイルの命名規則は MAIL1.BOX、MAIL2.BOX、... MAILN.BOX となります。ここで、N はサーバー設定文書に指定されたメールボックスの数です。